株式会社丸茂工業・ES設計工房

子供部屋は…子供が主役

６歳頃から約3年間、私の家族は母方の伯父さんの家で間借りをしていました。
正確に言えば、母屋と納屋の間の空間に簡単な小屋を造った、と言ったほうがあっています。最初から家を新築する予定での間借りですから、本当にお粗末なものです。屋根はトタン屋根、その上に真っ黒なコールタールと言われた防水材料が塗られ、天井は無く、構造材料がむき出しでした。
やがて、夏の暑さと、冬の寒さをしのぐために、藁で作ったむしろのようなものが天井になりました。断熱効果があったかどうかは記憶にないのですが、雷のときなどの雨音、それはとてもうるさく耳をふさぐほどで、大声を張り上げないと会話が聞こえないような状態でした。それを音楽に思え楽しめれば、きっと音楽家になっていたかもしれません。しかし、寝床について天井を見上げると、窓からの月明かりと電灯で、暗い中から浮き上がる天井のうねりは明暗があり、藁の縞模様や素材のばらつき、そして色合い等、それは不思議な世界を子供の私に想像させ楽しませてくれました。

そうなんです、子供は身の回りの現象を遊びに替える天才なのです。
どんな境遇にいても楽しみを見つけられるものなのです。
そうして創造力を蓄積していくのです。
こうした経験は私だけではないと思うのです。
子育て真最中のお父さん、お母さん、私と同じような経験があるでしょう？

ですから、子供には創造力を育てる空間や遊べる場所が必要なのです。
子供室の天井・壁・床等、素材を選び空間を工夫しましょう。高価な材料を選ぶことはないのです。子供が育つ環境を提供すればよいのです。
楽しい豊かな人間性が育つ工夫は、あなたが握っているのですよ。
そして、子供が主役です。

もっと、こだわってみませんか？　あなたの家づくり、暮らしづくり…

食べ物に関しては、だれでも生まれた時から評論家。おいしい、おいしくないで評価できるのです。子供の頃から評論家なのです。
それに比べ、音楽や絵画等は食べ物のようにはいかないようです。多少知識が必要に思える。そうでないと楽しめないのかもしれない。まして建築は…ウィンドウショッピングというわけにはいきませんね。

私が不思議に思うこと、それはよく耳にしたり見かけたりもしますが、車や洋服、装飾品等を購入するときでさえ、あれやこれや迷って極める人が、金額的にも、付き合う年月においても、その何倍もする家のことには、そのための時間と内容をあまりつめていないということ。新築も、増築も、リフォームにおいても。

自分はどんな生活がしたいのか、
趣味などをどう生かしたいのか、
欲しいものと必要なものの選択、
究極にはどう生きて、どう死にたいのか…等々

一夏の休みの計画だって、短い旅行の計画だって、いろいろ練るじゃないですか…

家づくりは本当に楽しいものです。20年30年生活する家に、もっともっと思いの全てをぶつけたらよいと思います。
家はあなたが望むもの以上のものは与えてくれません。
あなたが望んだものを提供してくれるのです。

最近の現場に思うこと…

建築に関連したニュースに思うことは、これからもっと事故が多発するかもしれないということです。
最近の現場はスマートになりました。現場で大声を張り上げて口論している情景は目にしない。全体の職種が品が良くなったような…

しかし、かつての現場の大声を張り上げての口論は、自分の仕事へのプライドと、より良いものを造るための意見交換の場であったのです。仕事に全身全霊をかけ、技術と技術、職能と職能がぶつかり合う神聖な場所。

合理性、合理化、それは金銭の合理化であり、職人たち技術者たちの意欲を奪い、最初から「成功ありき」で出発している、つまり失敗は許されないのです。
自分の少ない人生経験から思うと、我々人間は失敗から物事を学ぶことが多いのではないでしょうか。自信というものは、精神的あるいは技術的にクリアーしたものでないと身につかないものであると思うのです。そういう経験のない現場従事者は、頭では解るのですが、身体では解らないのです。

危険か危険でないかは身体で判断するのです。
「カン」なのです。総合直感力なのです。
そしてこれを磨くには、本気で仕事に打ち込むしかないのです。
能力の出し惜しみをせず、全身全霊をかけて…

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